ミカン葉ガク
ミカン葉ガク(みかんばがくあじさい)
ミカン葉ガクは、伊豆大島で発見されたガクアジサイの1品種です。
一般的なアジサイとは、葉の形が違っていて面白い品種です。
ミカン葉ガクが持っている特徴とは、どのようなものなのでしょうか。
また、育て方には何かポイントがあるのでしょうか。
[ミカン葉ガク]
■ミカン葉ガクの特徴
・肉厚で常緑の葉
アジサイの葉といえば、丸みのある形と縁に入ったギザギザが特徴的です。
葉の色や大きさに差が多少あったとしても、
西洋アジサイやガクアジサイの多くは、似たような葉を持っています。
ところが、ミカン葉ガクは他のガクアジサイとはまったく違った葉を持っているのです。
葉は丸みがなくやや細身で、縁にはギザギザがまったくありません。
厚みのある葉やツヤがあり、アジサイの葉というよりは、
ミカンなどの柑橘類の葉と酷似しています。
アジサイの中には、ヤマアジサイのように葉が細身のものもありますが、
葉の縁にはガクアジサイと同様の切れ込みが入りますし、厚みやツヤはありません。
ミカン葉ガクの葉は、アジサイらしからぬ姿をしているからこそ、魅力があるのです。
しかもミカン葉ガクは、常緑の性質を持っているアジサイです。
一般的なアジサイは落葉の性質を持っているため、寒くなる葉がなくなります。
冬の間、枝だけの状態で過ごし、春になるとまた芽が伸びてきて葉が茂ります。
ミカン葉ガクの場合、冬季でも最低気温が15度以上ある場所であれば、
落葉せずにつやつやとした葉を残したまま冬を越せます。
アジサイは花が終わると、枝葉は残るものの少し寂しいものです。
特に冬の間は、落葉して枝だけになってしまいます。
もちろん、冬枯れの株にも魅力はありますが、やはり殺風景で寂しさはあります。
ミカン葉ガクなら、管理次第で冬の間もずっと葉をつけたままになるので、
ずっと鑑賞していられます。
・切れ込みのある花
ミカン葉ガクもアジサイの1品種なので、花期になれば花を咲かせます。
花房は、ガクアジサイらしい両性花が中心に集まり、
その周りを装飾花が囲むガク咲きタイプです。
両性花は小さく、開花してもあまり目立ちませんが、
中央に行儀よく集まっている姿は美しいです。
最初はぎゅっと集まっていた両性花も、開花が進むとふわりと広がり、
エアリーな雰囲気がプラスされて、優しい雰囲気になります。
装飾花は、花弁が4枚の一重咲きで、
八重咲きのようなボリューム感や豪華さはありません。
けれど、すっきりとした潔ささえ感じる整った花形は、清涼感に溢れ、
鬱陶しい梅雨の空気を一掃するようです。
一般的なアジサイのような、葉の縁に入る細かい切れ込みはありませんが、
装飾花の花弁の縁には、細かな切れ込みが入ります。
ただ単に花弁が4枚くっついている装飾花ではない、
独特の魅力がそこにはあります。
花色は酸度によって代わり、酸性なら薄いブルーに、
アルカリ性ならピンクを含んだ紫になります。
どちらとも色は淡く、特にブルーに出た時は、装飾花は白っぽく見えます。
両性花の方は花色がやや強く出るので、満開時には内側から外側に向かって、
緩やかなグラデーションがかかったように見えます。
また、装飾花は開花が進むと、花の軸が徐々に伸びて飛び出てきます。
花の咲き具合だけでなく、花房が少しずつ変化していく様子を見るのも楽しいです。
・柔らかい枝
ミカン葉ガクの葉は、厚みがあってつやつやとしているため、硬そうな印象です。
それにともなって、枝も強く硬いイメージがありますが、枝は意外と柔らかいです。
実際、枝が柔らかいので、好きな方向に曲げて固定することができます。
一般的な鉢植えでも素敵ですが、盆栽のように仕立てるのも面白そうです。
枝は柔らかいですが、強度はきちんとあるので折れることは少ないです。
花房自体もそれほど大きくないので、重みにによって折れることもありません。
ただ、枝が長くなってくると、倒れることがあります。
また、枝が柔らかいため、意図しない時に曲がることもあります。
まっすぐに枝を伸ばしたい場合は、あんどん支柱や棒状の支柱を使って、
支えてあげると良いでしょう。
独特な葉の形をしていますが、突飛な印象はまったくありません。
むしろ植え込みとして使われていても違和感がなく、
植えられた庭や置かれた場所によくなじみます。
耐寒性はあるものの、最低気温が15度を下回ると落葉するので、
葉をできるだけ残して鑑賞したい場合は、冬は保温をしておくのがお勧めです。
■ミカン葉ガクの育て方のポイント
基本の育て方は、一般のアジサイと同じです。
花色は、土の酸度によって変わります。
酸性なら爽やかなブルーに、アルカリ性なら淡い赤紫色になります。
どの色に咲かせてもキレイなので、自然に任せるのも良いですが、
咲かせたい色がある場合は、酸度調整が必要になります。
青いアジサイ専用や赤いアジサイ専用といった培養土や肥料を使うと、
比較的簡単に調整ができます。
常緑タイプの品種ですが、剪定の時期は一般のアジサイと同じ7月中です。
剪定が遅れると翌年の開花が難しくなるので、注意します。
■参考
・アジサイ 庭植えの育て方
・アジサイ 鉢植えの育て方
・アジサイの剪定方法
・アジサイの肥料は?
・アジサイ 挿し木の仕方