シュロスバッカーバルト
シュロスバッカーバルト C)園芸ネット
シュロスバッカーバルトは、ドイツで育種された西洋アジサイの品種です。
一般的なアジサイとは、一味も二味も違った魅力を持っています。
そんなシュロスバッカーバルトが持っている特徴とは、どのようなものなのでしょうか。
また、育て方には何かコツがあるのでしょうか。
[シュロスバッカーバルト]
■シュロスバッカーバルトの特徴
・両性花の目
アジサイの花房といえば、両性花が中心に集まり、
その周りを囲むように装飾花が咲く、ガク咲きタイプのイメージが強いです。
このガク咲きの他にも、アジサイにはテマリ咲きや半テマリ咲きといった形もあります。
シュロスバッカーバルトは、3つの中のテマリ咲きというタイプになります。
テマリ咲きは、装飾花が多数集まって1つの花房を形成していて、
形は玉状やドーム状になるのが普通です。
シュロスバッカーバルトの場合も、丸みのあるドーム状になります。
シュロスバッカーバルトが他のテマリ咲きアジサイと異なるのが、
両性花も開花するという点です。
一般的には、テマリ咲きの品種の花房には、
装飾花のみが咲くか、両性花がついていても見えない位置にあることが多いです。
ところがシュロスバッカーバルトの場合は、装飾花1つ1つの中心に、
まるで丸まったしべのように両性花が存在しています。
装飾花が開花しても、中心の両性花はすぐに咲かず、
粒状の蕾の状態が続きます。
装飾花が満開になった頃、気づけば両性花も咲いているのが、
シュロスバッカーバルトの咲き方です。
中には両性花が咲かず、蕾のままで終わることもありますが、
基本的には咲く傾向が強いです。
装飾花自体は、花弁が4枚~5枚の一重咲き、
花弁の形も丸みのあるひし形に近い形で、花形としては珍しくはありません。
けれど花弁に厚みがあり、暑さや雨に当たっても傷みにくく、花もちが良いです。
花弁の表面には少ししわが寄り、ところどころがぷくっと膨らんだように見えます。
この凹凸ができることで、自然な動きと立体感が出るので、
一重咲きでも寂しくなく、むしろボリューム感を演出しています。
・ミステリアスな色
シュロスバッカーバルトの最大の魅力は、その花色です。
とても不思議な色調と、変化を楽しめます。
咲き始めは、花房全体が明るいグリーンです。
一般的なアジサイだと、開花が進むとグリーンが退色し、
白っぽくなったり、地の色に染まっていきます。
ところがシュロスバッカーバルトは、装飾花が全体の半分開いても、
まだグリーンのままです。
むしろマットな質感の緑色に、少し深みが加わるほどです。
花房が満開に近くなってくるころ、ようやく色が入り始めます。
地色は花弁の縁から入り始めますが、またこの色がビビッドな濃いピンク色なのです。
マットな深いグリーンとビビッドな濃いピンクの組み合わせは、
これだけでも不思議な魅了を発揮します。
花弁の縁から入ったピンクは少し広がるものの、途中で色の浸食が止まります。
すると、今度は花の中心からピンクが入り始めます。
気づけばグリーンよりもピンクの方の色の範囲が広くなり、
グリーンがほとんどない状態となります。
このタイミングで出てくるのが、中心の両性花です。
最初はあまり存在感のない両性花ですが、開花するとなんと青くなるのです。
ビビッドな紫を帯びたような濃いピンクに少量のグリーン、
そこに青が入ると、なんとも言えない色合いとなります。
シュロスバッカーバルトの色変化は、ここで終わりません。
花房全体がビビッドなカラーに包まれた後、また少しずつピンクが抜けていきます。
ピンクが抜けた部分には、再びグリーンが入り始め、
最終的にピンクは縁にだけ残り、あとは全部ビンテージグリーンとなります。
花の移り変わりが激しく、刻一刻と印象を変えていく姿は、
何年見ていても飽きることがありません。
満開以降も花もちが良いので、夏越しがうまくできれば、秋色まで楽しめます。
・大ぶりな株姿
シュロスバッカーバルトは西洋アジサイの品種のため、
株全体が少し大ぶりな姿をしているのが特徴です。
装飾花が大きめで花弁も厚いので、花房がとても重そうに見えますが、
枝が丈夫なのでしっかりと支えてくれます。
枝は簡単には折れませんが、栽培環境や生育具合によって、
倒れたり曲がることがあります。
そのままでも問題はありませんが、
気になる場合は、棒支柱やあんどん支柱などを使って、支えてあげましょう。
葉色はやや薄めですが、大きさがしっかりとあります。
ビビッドでミステリアスな特徴的な花色を、
しっかりと受け止めて引き立ててくれる、シンプルな葉です。
見た目にかなりインパクトがあるので、単体で鉢植えにしても見栄えがします。
また、庭植えにすると意外と周りとなじみますし、
初夏から秋まで長く花を楽しめるので、庭のフォーカルポイントとしても活躍します。
■シュロスバッカーバルトの育て方のポイント
基本の育て方は、一般の西洋アジサイと同じです。
寒さにやや弱いので、冬の間は霜や寒風を避けて管理します。
寒さが厳しい地域では、冷え込みが予想される夜間は、
玄関に取り込むなどの工夫が必要となります。
花色は酸度で多少変化しますが、自然に任せても良いでしょう。
夏越しがうまくできれば、秋色アジサイとしても楽しめます。
開花後は直射日光に当てず、明るい日陰で風通しが良く、涼しい場所に置きます。
秋色アジサイまで楽しめる品種ですが、本来の剪定時期は7月中です。
それ以降に剪定すると、翌年の花が望めなくなります。
どうしても秋色まで楽しんだ上、翌年も花を見たいという場合は、
7月中に開花した半分の枝だけ剪定します。
残りの枝は花をつけたまま秋まで楽しみ、そのあとに剪定します。
あるいは、7月中旬までに剪定予定位置より上の新芽を摘み取ります。
秋色アジサイまで楽しんだら、予定の位置で剪定します。
先に新芽を摘むことによって、それより下の芽が充実しやすくなります。
秋に剪定した時には、すでに剪定位置の下の芽が充実した状態となるため、
翌年の開花が見込めるようになります。
■参考
・アジサイ 庭植えの育て方
・アジサイ 鉢植えの育て方
・アジサイの剪定方法
・アジサイの肥料は?
・アジサイ 挿し木の仕方