ロートロッセル
ロートロッセル
ロートロッセルは、西洋アジサイの1品種です。
品種名の頭に「ロート」とつく西洋アジサイがいくつかあり、
ロートロッセルの他にロートシュバンツやロートケルヒュンといったものがあります。
いずれもスイスで作られた品種です。
ロートロッセルが持っている特徴や、
育て方のポイントなどをまとめました。
[ロートロッセル]
■ロートロッセルの特徴
・大ぶりのガク咲き
西洋アジサイは、日本で多く流通しているガクアジサイに比べて、
花房や株全体が大きいことが多いです。
ロートロッセルも西洋アジサイらしく、大ぶりな花房をつけます。
花房の形は、アジサイによくみられるガク咲きと呼ばれるタイプです。
両性花が中心にたくさん集まっていて、その周りに大きな装飾花がつきます。
一般的なアジサイの場合、
周りにつく装飾花には両性花がつかないことが多いのですが、
ロートロッセルは装飾花の中心にも1つだけ、両性花がつくのが特徴です。
両性花はとても小さく、先に装飾花の方が開花するので、
開花中盤までは丸々とした蕾のままで楽しめます。
蕾のうちでも、ぎゅっと丸くなっている姿は可愛らしく、
たくさんの両性花の蕾が集まる様子は迫力があります。
ロートロッセルの両性花は、開花が進んでもあまりばらけている印象がないため、
非常にまとまりが良く見えます。
開花が進んでくると、両性花もきちんと花弁を開きます。
ただ、花弁自体はあまり目立たず、
むしろ中から飛び出てくる上向きのしべの方が目立ちます。
たくさんの両性花からしべが飛び出す様は、
なんともふわふわとしていて愛らしいです。
ロートロッセルはどちらかというと大人っぽい雰囲気を持つ品種ですが、
このふんわりと広がる両性花によって、大人っぽくなりすぎません。
また、上品な雰囲気を壊すことなく、雰囲気を和らげてくれます。
装飾花は大きいですが、花弁が4枚~5枚の一重咲きです。
花弁数は多くありませんが、花弁同士が少し重なり合って開花するため、
自然と凹凸ができてボリューム感が出ます。
また、丸みの強いフォルムの花弁なので、
大きさによる迫力というよりは、優しさの方が前面に出ています。
・大人っぽい紫色
西洋アジサイの品種は、色が濃くはっきりしたものが多いです。
ロートロッセルの花色も、非常に濃い紫色です。
そのため、爽やかさよりも大人っぽい艶感があり、存在感も抜群です。
花色は土の酸度によって微妙に変わり、
酸性なら装飾花は紫になり、アルカリ性ならやや赤紫に寄ります。
両性花は装飾花よりも青みが強く、酸性なら青に近い色に、
アルカリ性なら紫色になります。
装飾花、両性花どちらの色も深みのある濃い色をしていて、
見ていてため息が出るほどしっとりとした美しさがあります。
蕾のうちは明るい緑色ですが、開花が始まると装飾花が開くとともに緑が抜け、
やや白っぽい色になります。
その後、花弁の縁から地色が入っていき、装飾花の花弁全体に色が広がります。
最初は少し薄めの色ですが、開花が進むにつれ色も濃く、深くなっていきます。
両性花が蕾のうちは、両性花の青みの強い色が強調されますが、
両性花が開花するとしべの方が目立つようになるため、
あまり青みを感じなくなります。
その分、装飾花の濃い色との色差によって、
それまでとはまた違った表情を楽しめます。
花房が満開になった後、
うまく管理すれば長く楽しめるのもロートロッセルの魅力です。
色の濃さが薄れず、少し褪せたようなビンテージ感のある色合いとなります。
・花もちが非常に良い
ロートロッセルの株姿は、西洋アジサイらしいがっちりとした体格です。
枝も細すぎず、もともと強度もあるので折れる心配はありません。
大きな花房をしっかりと支えてくれます。
株が大きくなって枝が伸びても、あまり曲がったりすることもありませんが、
強風によって倒れてくることがあります。
気になる場合は、支柱などを使って支えてあげましょう。
花もちが非常に良い品種なので、
開花後の水切れに注意して直射に当たらないように管理することで、
長く花を楽しめます。
アジサイは一季咲きのため、花期が終わると寂しいと感じることが多いので、
長く鑑賞できる品種は貴重です。
葉色は明るめの緑色で、葉の大きさは標準的です。
枝先に近い位置の葉が、やや細めに出やすいので、
がっちりとした体形にも関わらず、すっきりとしたフォルムになります。
色が濃いので、庭の雰囲気や合わせる植物と選びそうですが、
意外となじみやすいです。
洋風の庭はもちろん、紫という色のおかげか和風の庭にもよく合います。
はっきりとした色なので、庭のフォーカルポイントとしてもお勧めです。
■ロートロッセルの育て方のポイント
基本の育て方は、一般の西洋アジサイと同じです。
花色は土の酸度によって微妙に変わります。
土が酸性なら紫色に、アルカリ性ならやや赤紫になります。
どちらも素敵な色なので、自然に任せても良いでしょう。
もし咲かせたい色がある場合は、酸度調整が必要です。
市販されている青いアジサイや赤いアジサイ専用の、
培養土や肥料を使うと便利です。
花もちの良い品種ですが、剪定の時期は一般のアジサイと同じ7月中です。
長く楽しむのであれば、剪定方法を工夫します。
西洋アジサイなので、寒さに弱いところがあります。
特に新芽が寒風によって傷みやすいので、
寒い地域で栽培する場合は、鉢植えにすると管理しやすいです。
冷え込みが予想される日は、玄関などに取り込んでおくと良いでしょう。
■参考
・アジサイ 庭植えの育て方
・アジサイ 鉢植えの育て方
・アジサイの剪定方法
・アジサイの肥料は?
・アジサイ 挿し木の仕方