有松
有松 C)西尾鉢物出荷
有松は、三河千鳥という品種から選抜された、ガクアジサイの品種です。
独特な色と模様が特徴的なので、プレゼントとしても人気です。
有松の特徴と、育て方のコツをまとめました。
[有松]
■有松の特徴
・伝統工芸のような配色
アジサイの色といえば、紫や青、ピンクなどのイメージがあります。
実際には、これらの色以外にも白や赤などの品種もありますし、
色も濃淡によっても見え方が変わってきます。
中には、一色だけでなく、複数の色が1つの花に入っている品種もあります。
青やピンクなどの色に、白色の縁取りがあったりと、色の入り方も様々です。
有松の基本の花色は、青と白です。
けれど、咲き始めから咲き終わりまでの色の変化や、
独特の模様の入り方によって、長く楽しむことができます。
そもそも有松という名前は、伝統工芸の有松絞りからつけられています。
つまり、有松絞りと同じように、絞り模様が入るのです。
アジサイ品種も非常に種類が多いので、
中には絞りや絣といった模様が入るものもありますが、数は多くありません。
有松の絞り模様は、大胆なようでとても繊細で、
見ていて飽きることがありません。
色も、咲き始めは白が多く、そこに爽やかな明るいブルーの絞りが入ります。
咲き進むと、青の範囲が広くなるとともに、色も濃くなっていきます。
最終的には、全体が青色に染まり、わずかに白が入る程度になります。
絞りの入り方は、個体差によって多少の差が出ますし、
同じ個体であっても花房によって違いが出る場合もあります。
どのように模様が出たとしても、その独特の美しさが失われることはなく、
むしろ次はどのような花を咲かせるのかと、楽しみが増します。
・絞りを引き立たせる花形
有松は、伝統工芸の独特な模様をもっていますが、花房の形はテマリ咲きです。
テマリ咲きは、たくさんの装飾花が1つの花房に集まって咲くタイプです。
そのため、絞り模様の入った装飾花がぎゅっと集まり、
より繊細さが目立つようになっています。
装飾花は、花弁が4枚~5枚の一重咲きですが、
模様が入るのでけして寂しくはありません。
むしろ一重咲きであるが故の、すっきりとした印象が良いです。
装飾花も小さめですが、花数がとても多いので、ボリュームも満足感があります。
また、小さめの装飾花がたくさん集まっている分、
全体的にふんわりとした柔らかな形をしているのも魅力的です。
装飾花の花弁はやや細長いタイプです。
有松の絞りは、花弁の中心から外に向かって縦長に入るので、
この細長い花弁がさらに絞りの繊細さを引き立たせています。
・年を追うごとに立派に
有松は、見た目の美しさや独特な雰囲気から、プレゼントとしても人気です。
ただ、流通量はまだあまり多くないので、希少価値があります。
また、園芸店やホームセンターで苗を見つけても、3号ポットに入っているような、
小さなものである場合が多いようです。
苗が小さいうちは、枝も細く、あまり葉も大きくならないため、
どちらかというとヤマアジサイのような見た目をしています。
けれど、何年も育てていくうちに、徐々に株がガッシリとしてきて、
大きな花房を咲かせるようになっていきます。
大株になっても、枝はあまり太くはありません。
けれど折れやすいということはなく、しなやかさがあるのでむしろ丈夫です。
葉の大きさや色は、一般的なアジサイと同じくらいですが、
苗が小さいうちは葉も細長くなることがあるようです。
株が大きくなってくると、葉の形や大きさも安定します。
独特の模様も配色も美しいので、庭の一角に地植えで育て、
大株に育てると迫力があります。
もちろん、鉢植えにして育てれば、
近い距離で繊細な花を眺めることもできるので、お勧めです。
■有松の育て方のポイント
基本の育て方は、一般のガクアジサイと同じです。
花色の基本はブルーですが、土がアルカリ性に傾くと、薄い紫が入ることがあります。
できるだけ青の発色を良くしたい場合は、土を酸性に調整しておきます。
青いアジサイ専用の肥料や培養土を使うと、簡単に酸度調整ができます。
■参考
・アジサイ 庭植えの育て方
・アジサイ 鉢植えの育て方
・アジサイの剪定方法
・アジサイの肥料は?
・アジサイ 挿し木の仕方