アジサイ 鉄欠乏
アジサイはとても美しく、日本でも古くから親しまれています
海外でも人気が高く、日本から渡ったアジサイが海外で品種改良され、
ゴージャスな西洋アジサイとして日本に戻ってきました。
日本でも改良が続けられているため、毎年新しい品種が出るほどです。
そんなアジサイですが、育てていると異変に気付くことがあります。
その原因の1つが、鉄欠乏です。
アジサイの鉄欠乏は、なぜ起こるのでしょうか。
また、何か対処法はあるのでしょうか。
[アジサイ 鉄欠乏]
■主な症状
・新芽が白くなる
鉄欠乏の代表的な症状が、新芽の白化です。
鉄欠乏になった時、症状が出るのは比較的早く、しかも新芽に出るのが特徴です。
アジサイに限らず、他の植物も鉄欠乏の状態になると、
葉に白化の症状が見られるようになります。
葉全体が真っ白になるというよりは、葉脈間のみが白っぽくなります。
また、白と認識できない程度に、緑が淡くなる場合もあります。
新芽はもともと古い葉に比べると色が薄くなりますが、
それよりもさらに淡い色になるのが特徴です。
・葉が小さく生長が遅い
鉄欠乏になってからの期間が短い場合は、新芽に出る症状だけですが、
長い間鉄欠乏になっていると、株全体に症状が見られるようになります。
鉄はアジサイが生育するために、欠かせない要素です。
その鉄が足りていないため、正常な株に比べると葉や花の花弁が小さく、
また生長も遅いことが多いです。
もちろん、アジサイにはたくさんの品種があり、
葉のサイズや生長速度は、品種によって異なります。
けれど、同じ品種で、似たような環境で育てているにも関わらず、
葉のサイズや生長速度に異変を感じたら、鉄欠乏が原因かもしれません。
■主な原因
・アルカリ性土壌
鉄は通常、土の中に含まれているため、
鉄自体が土にまったくない、ということはありません。
けれど、それでも鉄欠乏を起こすことがあります。
その原因は、土の酸度です。
鉄やアルミニウムといった金属系の要素は、土が酸性になっていると、
溶け出しやすくなります。
溶け出していれば、植物の根が吸収するので、鉄欠乏は起こりにくくなります。
アジサイの花が、酸性の土にすると青く変化するのは、
もともと持っているアントシアニンと酸性土によって溶け出したアルミニウムイオンが結合し、
変色しているためです。
反対にアルカリ性にすることで、アルミニウムが溶け出さなくなるため、
アントシアニンそのものの赤系になります。
土をアルカリ性にした時、アルミニウムだけでなく、鉄も溶けださなくなるため、
鉄欠乏が起こるようになるのです。
■対策
・土の酸度調整
鉄欠乏からアジサイを守るためには、
中性~弱酸性に土を調整するのが手っ取り早いです。
けれど、赤系の花を見たいという方もいるでしょう。
症状が弱いのであれば、特に何もしなくても、
時間の経過とともに症状が落ち着くことがほとんどです。
ただ、強いアルカリ性になっている場合は、酸性資材を混和し、酸度調整を行います。
また、症状がひどく出ている場合は、葉面散布できる鉄肥料を、
1週間おきに数回散布すると、症状が和らぎます。
■判断基準
アジサイはとても丈夫な植物で、発生する生理障害も少ないです。
鉄欠乏自体も、生長とともに症状がおさまることが多いです。
ただ、花を赤系に咲かせたいがために、
土の酸度を強いアルカリ性にしてしまうのは、とても危険です。
日本は雨が多く、土は酸性に傾きやすいといわれています。
けれど、アジサイを育てている周りの環境によっては、
土がアルカリ性に傾きやすいこともあるのです。
コンクリートやモルタルなどが溶け出して土に入り込むと、
土の酸度が知らないうちにアルカリ性に傾きます。
そのような状態で、過度にアルカリ性資材を投入すると、
強いアルカリ性となって生育不良の原因となります。
アジサイ用の肥料や培養土に「赤い花用」と書かれたものがあります。
こういった資材には、すでにアルカリ性に傾きやすいようなものが配合されているので、
そこへさらに石灰などのアルカリ性の資材を加えると、過度なアルカリ性となります。
簡単な対処法だけでは改善が見られない場合は、一度土の酸度を計測してみましょう。
■参考
・アジサイ 庭植えの育て方
・アジサイ 鉢植えの育て方
・アジサイの剪定方法
・アジサイの肥料は?
・アジサイ 挿し木の仕方