雨の物語
雨の物語 C)加茂花菖蒲園
雨の物語は、加茂花菖蒲園が作出したガクアジサイの品種の1つです。
雨色の美しい花色をしていたため、雨の物語という名前がつけられました。
名前の通り、雨のような透き通る水色が美しい雨の物語とは、
どのような特徴のアジサイなのでしょうか。
また育て方もご案内します。
[雨の物語]
■雨の物語の特徴
花房はテマリ咲きで、比較的小さな花(装飾花)が、
大きなテマリ状となって咲きます。
房の大きさや装飾花の集まり方が、
西洋アジサイの中でも人気の高い「アナベル」のようです。
装飾花1つ1つは、小作りで繊細な雰囲気がありますが、
花房全体で見ると繊細さも残しながら、元気な印象も受けます。
花色は水色が基本となります。
咲き始めは、黄緑がかった白色の花弁が開きはじめ、花弁の縁から薄い水色が入ります。
だんだんと咲き進むにつれ、水色の部分が広がっていき、
最終的には全体が水色に変わります。
最初は白の分量が多く、清楚な感じがしますが、だんだん水色の分量が多くなり、
全体が青く染まると、白が多かった時とは、また違う表情を見ることができます。
花が青色のアジサイはたくさんありますが、
その中でも雨の物語は、抜けるような透き通った水色が特徴です。
雨の色と例えられた品種ですが、うっとうしい雨の続く梅雨の時期に、
この透き通った青色の花が庭で咲いていると、それだけで気分が明るくなります。
改良の途中で、ヤマアジサイの血が入っているようですが、株全体は大型になる品種です。
枝もヤマアジサイほど細くないため、花がたくさん咲いても折れる心配はありません。
葉は一般的なものと同じくらいの色か、やや明るい緑色をしています。
形も一般的なアジサイと同じか、やや細めくらいです。
大型にはなりますが、鉢植えでの栽培も可能です。
庭に植えれば、立派な株に生長し、たくさんの青い花で楽しませてくれるでしょう。
咲き始めの雨の物語
■雨の物語の育て方のポイント
基本の育て方は、一般的なアジサイと同じです。
花の形はアナベルに似ていますが、アナベルとは剪定時期が異なるので、注意います。
アナベルの場合は、花後~新芽が出る前まで剪定が可能ですが、
雨の物語は通常のガクアジサイと同じように、7月頃までに剪定を済ませます。
それ以降に剪定をすると、すでに形成されている花芽ごと切ることになるため、
翌年に花をつけなくなります。
日当たりは、日向~半日陰まで広い範囲で育てることができます。
ただ、日向で育てる場合、水切れには注意が必要です。
特に鉢植えにしているものは、地植えよりも土の量が少ないため、
水切れしやすくなっています。
暑い時期は毎日土の状態をチェックし、乾いていたら水を与えるようにしましょう。
また、株元や鉢に直射が当たると、乾燥の原因になります。
株元が陰になるよう、遮光ネットを設置したり、
物を前に置くなどの工夫をするのがお勧めです。
鉢植えなら、夏の間だけ半日陰に移動させておくという方法もあります。
西洋アジサイは、一般的に寒さに弱いとされています。
けれど雨の物語は、見た目は西洋アジサイのようでも、
実際はガクアジサイの仲間なので、耐寒性が強いです。
育てやすく丈夫に改良された品種を多く出している加茂花菖蒲園が作出したもので、
厳寒期の芽飛びも少ないのが特徴です。
年間を通して戸外で栽培することができます。
寒冷地などで、冬の間にどうしても寒さが気になる場合は、
寒冷紗で株を囲んで防寒したり、鉢植えは冷え込みが強くなる日のみ、
暖房の効いていない玄関などに取り込んでおくと良いでしょう。
ヤマアジサイの血が入っているものの、枝はそれほど細くないので丈夫です。
花の重みで枝が折れてしまうことは、ほとんどありません。
ただ、花が雨を含んだ時など、頭が重くなった場合は、
枝が折れずに倒れてくることがあります。
倒れたり曲がった状態で放っておくと、そのままの形で枝が固まってしまい、
後で修正するのが難しくなります。
また、強風にあおられて折れる可能性も出てくるので、
できれば支柱を立てて支えてあげるようにしましょう。
■参考
・アジサイ 庭植えの育て方
・アジサイ 鉢植えの育て方
・アジサイ 挿し木の仕方
・アジサイの剪定方法