舞姫
舞姫 C)千草園芸
舞姫は、ジャパンフラワーセレクションの鉢物部門を受賞したガクアジサイです。
今までのアジサイにはなかった特徴がたくさんあり、とても魅力的です。
豪華で見栄えのする西洋アジサイにも、
繊細で滋味深いヤマアジサイにも見劣りすることのない花木です。
アジサイにはとても珍しい、絞り咲きの特徴をもつ舞姫とは、
どのようなアジサイなのでしょうか。
[舞姫]
■舞姫の特徴
舞姫の特徴は、なんといっても絞り咲きの花です。
西洋アジサイやヤマアジサイを含めても、
絞り咲きのアジサイというのはとても少ないです。
花はテマリ咲きタイプで、よく集まって、とても形良く咲きます。
装飾花1つ1つはやや大きめですが、4枚の花弁が完全には開かず、
少しすぼまって咲き、大味になったりだらしなく広がった印象はありません。
かといって、花房が小さく見えることはありません。
一重咲きの装飾花がよくまとまった花房ながら、
絞り模様が入ることでボリュームがあるように見えます。
花びらの色はピンクに濃いピンク~赤紫の絞りが入ります。
絞りの大きさや色の濃淡は、装飾花それぞれでも出方が変わります。
株によっても、大きめに絞りが入りやすいものと、
細かい絞りが入りやすいものといったような傾向もあるので、
購入する時は好みの絞り具合を見てからの方が良いかもしれません。
どのような絞り具合でも良いというのであれば、
ふたを開ける楽しみもあるネット通販もお勧めです。
土の酸度により色が変わるため、ピンク系とブルー系の両方販売されています。
どちらも美しいですし、個人の好みもあるかとは思いますが、
やはりピンク系の方が絞りが際立つように思います。
花は退色していくと、ピンクだった部分が黄色っぽくなり、
最終的には美しいグリーンになり驚かされます。
絞り部分の色はエンジ色になるため、
秋色のアジサイとしても美しいまま楽しむことができます。
舞姫の特徴は、花だけではありません。
本当に珍しいのは、花の絞りではなく葉にも絞り模様が出ることです。
開花期や生育期は、一般的なアジサイと同じような葉がつきます。
ところが、秋になってだんだんと葉の色が薄くなってくると、
絞りの模様が浮き出てくるのです。
紅葉というよりは、黄葉といったように、
葉は黄色くなってくるのですが、部分によっては赤が残る場所もあります。
赤が斑点のように残ったり、ラインになって残ったり、縁だけ残ったりと、
葉によって退色した緑と黄色と赤のバランスが違っていて面白いです。
新芽が出た喜びから魅力的な花の開花、
退色して味わい深くなった花を楽しんだ後、
色が変わっていく葉を最後の1枚が落ちるまで楽しむことができます。
枝の太さは普通ですが、あまり横に広がらない性質があるため、
コンパクトに育てやすい品種です。
地植えで育てられますし、コンパクトに育つ性質を生かし鉢植えでも楽しめます。
絞りの具合が違う株を並べて育て、
少しずつ雰囲気の違う様子を鑑賞するのも素敵です。
舞姫 ミドリ C)千草園芸
■舞姫の育て方のポイント
基本的な育て方は、一般的なアジサイと同じで問題ありません。
秋まで花を傷めずに上手に管理できれば、
かなり長い期間木に花をつけた状態で楽しむことができます。
ただ、剪定の時期は普通のアジサイと同じで、7月までです。
それより後に剪定すると、夏にできた花芽を切り落とすことになるので、
翌年の開花が見込めなくなります。
毎年花を楽しみたいのであれば、もったいないですが花がまだ残っていても、
7月までに剪定する必要があります。
あるいは、枝数に合わせて、花を残して秋まで楽しむ枝と、
7月までに剪定して翌年も花を咲かせる枝に分けて剪定する方法もあります。
花色は土の酸性度によって変わるため、
アルカリならピンク、中性なら薄紫~紫、酸性なら青色になります。
中性の紫も悪くはありませんが、絞りがはっきりしないことがあるため、
できればアルカリ性か酸性のどちらかにはっきりと傾けた方が、
美しい色が出やすくなります。
絞り模様が珍しい品種ではありますが、枝が横張りになりにくい性質があり、
コンパクトに仕立てやすいので、鉢植え栽培が簡単です。
また、暑さに強い性質や耐病性もあるため、とても育てやすい品種です。
アジサイ栽培が初めての方でも、育てやすいのでお勧めです。
■参考
・アジサイ 庭植えの育て方
・アジサイ 鉢植えの育て方
・アジサイ栽培 12ヶ月
・アジサイ 挿し木の仕方