ケイコピンク
ケイコピンク
ケイコピンクは、さかもと園芸が作出した、ガクアジサイの品種です。
この品種を作出したピムマ・ティアムチャイさんの、
奥様の名前がつけられたケイコピンクとは、
どのような魅力と特徴を持ったアジサイなのでしょうか。
育て方のポイントもご紹介します。
[ケイコピンク]
■ケイコピンクの特徴
◎色の変化を楽しめる秋色アジサイ
ケイコピンクは、淡いピンク色がとても可憐な花色をしています。
けれど、実はケイコピンクの花色は、ピンクだけではありません。
花弁の縁には、濃いピンク~赤紫の縁取りが入ります。
縁取りの幅は保続、花弁の輪郭に沿うように入り、きつい印象はありません。
濃い色の縁の内側は、最初は全体的に白い色をしています。
つまり咲き始めの花色は、白に濃いピンクの縁取りがされている状態です。
少し咲き進むにつれ、白い部分が淡いピンク色に染まります。
白い部分がピンクになるにつれ、
縁取りの濃いピンクの部分の色が少し薄くなります。
花弁が白からピンクに完全に変わる頃、
縁取りとしてあったはずの濃いピンクも色が薄くなり、
花弁の色とほぼ同じ濃さになり、色がとけあうように変化していきます。
その後、咲き切るまでは淡いピンク色の状態を維持し、
花が咲き切ると、今度はピンク色が色あせていきます。
ケイコピンクは非常に花もちの良い性質を持っているため、
上手に管理すれば、秋まで花を残すことができます。
夏前には花が咲き切り、そこから少しずつ色が抜けていき、
秋になる頃には明るいグリーンへと変化していきます。
開花が始まる頃から、秋になって花を切り取るまでの間、
少しずつ変化する花色を長期に渡って観賞することができるのが、
秋色アジサイの醍醐味です。
◎花房の形も変わる
ケイコピンクが変わるのは、花色だけではありません。
実は花形も少しずつ変化していく、不思議なアジサイなのです。
まだ両性花や装飾花が開花していない蕾の頃は、両性花が中心に集まり、
その周りに装飾花がついている、ガク咲きタイプとなっています。
先に装飾花が開花を始めると、
外側にある装飾花の部分のボリュームが増してくるため、
中央の両性花の部分が少しへこんだようになります。
装飾花がだいたい咲き終わると、
両性花を少し覆うようになるため、半テマリ咲きの状態になります。
その後、両性花の開花が始まると、今度は両性花のボリュームが出るため、
装飾花だけでは埋めることができなかった隙間を埋めることとなり、
最終的にはテマリ咲きの状態へと変化します。
ガク咲きから半テマリ咲きになり、最終的にはテマリ咲きになるという、
3通りの花形が楽しめるのも、ケイコピンクの魅力です。
装飾花は花弁に幅のある八重咲きで、
1つだけを見てもふんわりとしていてボリュームがあります。
花弁の縁にゆるいウェーブがかかっているため、
ふわふわとした印象が強く、可憐な雰囲気を強めています。
両性花も装飾花ほど目立ちはしないものの、
八重化していますし、花弁の縁には装飾花と同じ縁取りが入ります。
すべてが計算されつくしたかのような変化をするため、見る人を飽きさせません。
◎育てやすいが植え替えには注意
ケイコピンクは比較的育てやすい品種です。
枝もボリュームのある花房を支えるのに十分な太さがありますし、
葉も照りがあって花をよく引き立たせます。
ただ、植え替えには少し弱い性質があるので、植え付けの時には注意が必要です。
鉢植え、庭植えの両方で育てることができますが、
庭植えにする時は、植え付けた後に移動しない場所を選ぶのが大切です。
また、鉢植えにする場合、数年に1回の植え替えが必要となります。
この植え替えの時には、根鉢を崩さず、鉢増しをしていくと失敗が減ります。
■ケイコピンクの育て方のポイント
基本の育て方は、一般のアジサイと同じです。
ケイコピンクは、半日陰で育てることができますが、
開花中はできるだけ直射日光に当てない方が良いでしょう。
直射に当ててしまうと、どうしても花の傷みが進みやすくなり、
秋まで花をもたせることができなくなります。
開花が始まったら、明るい日陰や直射の当たらない場所で管理するようにします。
庭植えにしていて動かせない場合は、遮光ネットや寒冷紗などを使い、
日差しを遮るようにしておくと良いでしょう。
ケイコピンクは「ピンク」とついていますが、土の酸度によって色が変化します。
そのため、植え付ける時の土は、できるだけアルカリ性に整えておくようにします。
鉢植えで育てている場合は、植え替え時に赤いアジサイ専用の培養土を使うと、
キレイなピンクを出しやすくなります。
庭植えの場合は、春に苦土石灰を株元にまいて土に混ぜておくことで、
周辺の土をアルカリ性に調整することができます。
ケイコピンクは秋色アジサイです。
けれど、本来の剪定の時期は、一般のアジサイと同じ7月です。
花を残したまま、秋に剪定を行うと、
夏にできた翌年分の花芽も一緒に剪定することになります。
そうなると、翌年には花が咲かないということになります。
秋色アジサイとして楽しむのであれば、隔年で花を楽しむつもりで管理します。
株が大きくなり、枝数がふえてきた場合は、半分だけ7月に剪定を行い、
残りは秋まで花を残して秋色を楽しんでから剪定を行います。
こうすることで、7月に剪定を行った分の枝には、
翌年も花を咲かせることができるようになります。
■参考
・アジサイ 庭植えの育て方
・アジサイ 鉢植えの育て方
・アジサイ 挿し木の仕方
・アジサイの剪定方法