十二単
十二単 C)花ひろばオンライン
十二単という美しいガクアジサイの仲間の品種があります。
十二単といえば、何枚にも重ねた着物のことを想像する方も多いでしょう。
アジサイの十二単は、着物の十二単のように花弁が重なる姿から、
このような名前をつけられました。
江戸時代に品種改良されてできた十二単は、現代でも人気の高い品種です。
そんな十二単とは、どのようなアジサイなのでしょうか。
[十二単]
■十二単の特徴
十二単は、手まり咲き品種で、装飾花がほぼすべて八重咲きになります。
ところが、八重咲きにはなるものの、花の形が一定ではありません。
それは十二単が石化(帯化)しやすい品種であるためとされています。
石化とは、植物に起こる現象のことで、生長点の細胞異常により、
茎や花が繋がったり、平べったくなるような状態が、石化と呼ばれています。
十二単も石化しやすい品種で、すべてではありませんが、
茎や葉が黒っぽくなったり、硬くなったりすることがあるようです。
このことを知らずに育てると、症状が出た時に病気と思ってしまいますが、
あくまでも病気ではなく、十二単の特徴の1つです。
十二単の花は、石化の影響で規則性がなく形が変化します。
同じ株の中の同じ花房の中でも、花弁が大きかったり小さかったりと、
とても変化に富んでいます。
そのおかげで、何年育てていても、見飽きることはありません。
花色は土の酸性度によって変わります。
酸性に傾けば青系に、アルカリ性に傾けば赤紫へと変化します。
酸性かアルカリ性か、どちらか一方に寄せて、
青と赤紫のはっきりとした色の違いを楽しむのも良いですが、
中性に近づけると出てくる、淡い色合いも素敵です。
咲き始めはクリーム色~薄い黄緑色だった蕾が、
だんだんと花が開いていくにしたがい、花弁の色が変化します。
花色の進み具合も、花によって少しずつずれるので、
毎日違った表情を見せてくれます。
八重咲きのアジサイだと、ボリュームが出過ぎてしまうと感じる方もいるでしょう。
けれど十二単は、日本で古くから愛されてきた品種のためか、
八重咲きにしてはボリュームが出過ぎません。
株が大きくなっても、全体を覆うほどに花房がつくわけではないので、
適度なスペースがすっきりとした美しさを引き立たせてくれます。
庭の一角でも、玄関先でも、和風でも洋風でも、
どのような場所にでも、十二単はしっくりと馴染みます。
石化しやすい性質のためか、他のアジサイに比べると生育がゆっくりです。
ゆっくりとではありますが、大株に育てることも可能です。
枝はしっかりとしていて、倒れることはあまりありません。
鉢植えにしている場合、枝が伸びすぎて倒れやすくなることがあります。
その場合は、あんどん支柱などを使って、倒れないようにしてあげましょう。
葉の大きさも一般的なアジサイと同じような形、大きさをしています。
葉色は濃い目であることが多いですが、
花色とのコントラストが美しく、気になるほどではありません。
株によって少しずつ特徴が違っている場合があるので、好みの株を選びましょう。
石化の影響で、茎や葉が黒っぽくなったり、硬くなったりすることがありますが、
基本的には茎も葉も緑色をしています。
■十二単の育て方のポイント
一般的なアジサイの育て方で問題ありません。
石化によって出る、茎や葉の黒ずみ、硬化は、病気ではないので注意します。
特に色が黒ずむと、病気を疑いたくなりますが、品種の特徴としてよく見ておきましょう。
もし他に病変などが出るようであれば、すぐに原因を追究して対処します。
生育が比較的ゆっくりなので、地植えはもちろん、鉢植えで育てることも可能です。
性質は丈夫ですが、急激に大きく育つことはほとんどないので、
株姿を維持するのも難しくありません。
株ごとに特徴が異なる場合があります。
お気に入りの一鉢を手に入れて育て、もし不安なようであれば、
挿し木をするなどして、予備の株を作っておくと安心です。
■参考
・アジサイ 庭植えの育て方
・アジサイ 鉢植えの育て方
・アジサイ栽培 12ヶ月
・アジサイ 挿し木の仕方